2016.03.15 ツカエル組織論

成功体験と学習モデル

先日の日経新聞にて、キリンホールディングスを率いる二枚看板として紹介されていた、キリンビールの布施孝之社長とキリンビバレッジの堀口英樹次期社長。実はお二人ともキリンホールディングス内にあって赤字体質だった小岩井乳業を再生させた功労者とのこと。その経験を評価され「小岩井での成功をキリンビールとキリンビバレッジでも」というのがホールディングス磯崎社長の思いであり、お二人のミッションであるという記事でした。

布施社長は当時赤字だった小岩井で、牛乳・チーズ・バターと拡大した商品群から原点回帰し主力の生乳ヨーグルトに一極集中することで、ヨーグルトで小岩井ブランドを高め売上を伸ばすことに成功。またヨーグルトだけでも売上が伸びたことで社員の成功体験となり現場のムードが変わったとのことで「成功体験の積み重ねこそが組織を強くする」と布施氏はいいます。同様に堀口氏も小岩井では布施イズムを引き継ぎ、小岩井の赤字体質を改善させていったそうです。

 

 

彼らのこの成功体験に期待が寄せられているわけですが、成功体験があるからといって意図的にその成功を再現することはできるのでしょうか。環境が変わっても成功体験を生むことができる人はいったい何が違うのか。そのコツ、是非知りたいものです。

そもそも応用が効く成功体験とは何なのでしょう。単純な成功体験であれば「自転車に乗れるようになった」「テストで満点がとれた」「第一志望の企業に入社できた」など、誰しも生まれてから今までで多くの事柄を挙げられるはずです。ここでいう成功体験とは、一種の能力であり、使えるスキルということになります。ひとつの体験をどうしたらスキルとして使えるようになるのでしょうか。

 

 

組織行動学者のデービッド・コルブによれば、社会人の能力開発は日々の仕事から生まれているといいます。その仕組みをモデル化したものがコルブの「経験学習モデル」です。「経験学習モデル」とは、知識を受動的に習う知識付与型の学習とは異なり「経験→省察→概念化→試行」というプロセスを経て得られるもので、以下のように自分の中に構築されるものと定義されています。

・経験「具体的な経験をする(自ら気づく)」

・省察「経験を多様な観点から振り返る(自分で考える)」

・概念化「今後応用できるように概念的に考える(自分の教訓とする)」

・試行「実際にほかの場面で実践してみる(自ら試す)」

 

またコルブは「経験から学ぶために必要なもの」として以下4つをあげています。

・新しい経験へ関わることへの開放性や自発性(経験をとりにいくスタンス)

・新しい経験を多様な視座・視点から見ることのできる観察と振り返り力(省察的観察)

・新しい経験から統合的概念を生み出せる分析能力(抽象的概念化)

・新しい経験や概念を実際に使うことができる決断と問題解決力(判断と実行)

 

 

布施氏や堀口氏の小岩井での経験は「成功体験」としてモデル化され、彼らの引き出しの中に収められているのでしょう。またその経験は必ずしも、成功だけではないかもしれません。今日気づいて変更してみたことも、なぜ上手く出来ないのだろうと考えたことも、成功体験になりうるのです。そのまま「良かった」「しまった」で終わらせず、一歩立ち止まって意識に留めることで、今日のこんなことやあんなことも教訓として、自分のスキルに昇華させられるかもしれません。

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