2016.02.17 イケテル仕事観

「ボスマネジメントの本当の効力」石坂産業代表取締役 石坂典子さん

昨年の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2016」で情熱経営者賞を受賞した石坂産業代表取締役の石坂典子さん。1999年、埼玉県のダイオキシン問題で批判の矢面に立たされた窮地の産業廃棄物処理会社をV字回復させ、今や年間8000人が見学に訪れる地元の有名企業にした彼女は、社長となり10年かけて会社への批判を賞賛に変えていきました。カリスマ創業者から二代目女社長として経営を引継ぎ、見事に成果を上げたその情熱と手腕が賞賛されていますが、メディアで取り上げられている同社の取り組みは革新的かといわれればそうでない気がします。それでは、彼女の経営者としての勝因はどこにあるのでしょうか。

 

 

石坂さんが30歳で取締役社長に就任した際、彼女の上司は、創業者であり父でもある代表取締役会長の石坂氏でした。社長就任後しばらくは父の直属の部下として経営とは何か、社長とは何か、を勉強したという石坂さん。経営者として歩み始めた当時の「ボスマネジメント」から多くの学びを得たといいます。「ボスマネジメント」とは、字のごとく上司をマネジメントしようという考え方で、上司を上手く動かし自分が仕事をしやすい環境や上司との関係性をつくるというもの。とはいえ上司を動かすのは容易ではありません。特にそれがカリスマ創業者となればその難易度は上がります。石坂さんはその手強いボスのマネジメントから何を学び、何を得たのでしょうか。

彼女はそのボスマネジメントを通して、部下としてだけでなく上司の視点を持つことで、経営者の状況や苦労を察したといいます。そして自身が経営者の立場になってあらためて、至らぬ部下であったことを痛感したという石坂さん。部下だけでなく上司の立場にも立つことで、双方の置かれる状況やぶつかる壁が見えたようです。

 

 

彼女はボスマネジメントから得たひとつの成果として「毎朝15分の報連相の定期ミーティング」を挙げています。そのミーティングが生まれた背景として、他社の管理職にも通ずるエピソードを以下のように話されています。

管理職の時は1日で次々とトラブルや新たな案件が持ち上がり夕方になれば上司に相談したいことが複数出てくるもので、上司を見つけるやいなや「ちょっといいですか」と呼び止め、立ち止まってくれればそこでそのままの勢いで話し始めてしまう。ただ話している途中に上司の関心が逸れ、話の趣旨に集中できていないことに気づく。石坂氏の場合、夢中で話す石坂さんの肩越しに見える現場に視点が泳ぎ何かに目を留めると遠方に檄を飛ばすという状態。石坂さん曰く、石坂氏は常に五感を研ぎ澄ませ何か引っかかることがあれば感覚的に反射してしまう典型的な創業者タイプ。また管理職として掌握範囲が広がるほど部下から受ける報連相は多岐に渡り、当然すべてを詳細まで覚えていることは難しいもの。ただ当事者の部下はそういった上司の状態をわからず上司が自分と同じように事情を把握している前提で説明する。そのため上司は、状況把握のためプロセスのおさらいを誘導した上で、解決案の提示やアドバイスを提供しなければならない。

そんな状況を解決したのが先の「朝の定例ミーティング」。石坂氏の五感が反応しない環境かつ頭が疲労していない状態で安定的に時間を確保することで、デリケートな判断や意思決定のプロセスを学びながら、経営者としての考え方をすり合わせていったそうです。

 

 

石坂さんの経営者としての勝因は、このボスマネジメントで得た経験を最大限に活用し、様々な施策につなげている点ではないでしょうか。

彼女は言います。経営者として経営において何より重視するのは、会社を「社員が成長する場」として機能させること。ご自身が社長就任後の10年で学び成長してきた実感を社員にも感じて欲しい。そうして成長実感を感じられることが、社員のやりがいにつながり、自主的に働く動機になると。石坂さん自身がボスマネジメントを通じて得た発見や視点の転換をヒントに、同社では社員主導の新たな役割や視点が持てるような研修や外部への見学会などを実施。社員が自ら「こう成長したい!」と手を挙げる風土になったといいます。

 

 

ボスマネジメントの効力、それは単純にボスを動かすことだけではなく、ボス の視点、仕事のすすめ方、対峙する部下の心得を知り、自身のマネジメントの原資になり得ることなのかもしれません。ただ多くの管理職やリーダーがボスマネジメントを行う中で、双方の視点を連関させ自身のマネジメントに還元できている方がどれほどいるでしょうか。上のせい下のせいと負の連鎖を自ら紡ぎだしてはいないでしょうか。普段の何気ない上司と部下のやり取りに、マネジメントや育成のヒントは転がっているかもしれません。

 

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