vol.5 社会学から見たモチベーション
自己紹介
このコラムでは、新卒2年目社員である私土屋佑樹が、自身が若手社員だからこその視座を強みに「若手社員の取扱説明書」を綴ります。第5弾の今回は、「社会学から見たモチベーション」についてお話ししたいと思います。
働く理由が変わってきた
「若者の働く理由が変わってきた」というのは様々な場所で議論されています。お金を目的とせず、社会貢献という言葉を使う就活生が増えていますね。働く理由はモチベーションに大きく関わってきます。
今までのようにお金を払っているのだからというコミュニケーションは難しい。人手不足であり、人材需給の問題から仕事がないという認識をいまの若手は持っていないからです。
ここでは改めて動機にはどのようなものがあるのかということを社会学的視点から考えてみたいと思います。
3つの動機
そもそも動機には3種類ある。競争動機、理解動機、感染動機だ(『14歳からの社会学/宮台真司著』より)。競争動機は勝つ喜び、理解動機はわかる喜びを意味する。感染動機とは何か。それは「こういう人のようになりたい」という気持ちからくるモチベーションです。
そしてこの3つのうちこの動機が最も強い。以下『14歳からの社会学』より引用。
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ぼくたちがものを学ぼうとするときに、どういう理由があるだろう。
まず1つ目に挙げられるのが「競争動機」(勝つ喜び)。周りの子とテストの点数を競い合うとか、人よりも高い偏差値の学校に合格したいと思って受験勉強をするのは、この「競争動機」による。
2つ目に挙げられるのが「理解動機」(わかる喜び)。「自分の力で問題が解けた」とか「自分の考えをうまく説明できた」と感じる喜びだ。戦後の日本の教育は「競争動機」と「理解動機」に集中して議論がなされてきた。
だが、実はもう1つ大切な動機がある。/それが「自分もこういうスゴイ人になってみたい」と思う「感染動機」だ。
直感で「スゴイ」と思う人がいて、その人のそばに行くと「感染」してしまい、身ぶりや手ぶりやしゃべり方までまねしてしまう――そうやって学んだことが一番身になる
とあります。
感染動機を引き起こすには
ではどうしたら「この人みたいになりたい」と思ってもらえるのか。1つ言えることは、利他的であること。損得勘定や自意識や不安が原動力で動く人に、「この人みたいになりたい」という気持ちは起きないでしょう。
端的に「そうしたいからそうする」という利他性こそが、「この人みたいになりたい」という気持ちを喚起し、モチベーションを引き上げることができるようになるのではないのでしょうか。
若手のモチベーションを上げる1つの観点となれば幸いです。