2019.02.26 成長企業の社長が語る 組織のDNA
成長企業の社長が語る 組織のDNA Vol.1(前編)

成長企業の社長が語る 組織のDNA Vol.1(前編)

<保険業界の非常識 完全固定給制の稀有な組織づくり>
 

JAM:「成長企業の組織づくりのこだわり」ということで、アセットガーディアンさんの組織づくりのこだわりをお伺いしたのですが、一番のこだわりはどんなところにありますか?
 
内野氏:理念経営を実現することを大上段に掲げて組織づくりをしていることだと思います。特徴的なのは、保険業界では非常識である完全固定給制にしていることですね。

まず大前提として、保険の業界っていわゆるフルコミッション、歩合給です。通常の保険会社に勤める社員は最低賃金プラス歩合という事業所得で、社員でもあるんですが、個人事業主でもあるという状況です。
 
JAM:リスクとリターンが大きい世界ですね。
 
内野氏:そのルールだと、いわゆる定量評価しかないですから、理念に沿った行動などの定性評価というのはほぼありえない業界です。もちろんそれには、いい面もあると思いますけど、僕が描く理想の組織ではないんです。当たり前ですけど、いきなりフルコミッションだったら新卒採用もできないですよね。
 
JAM:新卒がすぐお客様に契約をいただくのはハードルが高いですね。でも、なぜフルコミッションにしないことが理想なのですか?
 
内野氏:保険って契約をいただいたら終わりというものじゃないですよね。むしろ契約をいただいてからが始まりで、その方の人生というのは、その方がお亡くなりになるまでと、残されたご家族に継承していくまでというふうに考えると、保険というのは80年のお付き合いだと僕達は思っているわけです。

80年寄り添ったサービスを提供するとしたら、一匹狼でできるはずがない。そう考えたら、一人の営業マンが担当し続けることも大切ですが、組織としてお守りして、80年末長くやっていくということが、本来保険代理店のあるべき姿だと思っています。

そうなると、組織としてお客様に寄り添っていくことが大切だと感じ、フルコミッションではなく、組織全員で役割分担をするという完全固定給にいきつきました。

JAM:確かにそうですね、もしかしたら営業が職を変えることもありますし、しかも80年という長期に渡って一人で担当し続けるというのは現実的ではないですね。何があっても組織として引き受けることができる体制を作りたかったということですね。
 
内野氏:はい、保険は入り口のコンサルティングがすごく重要だと思っています。でもそのあとの保険金給付などの出口のサービスも同じぐらい大事なので、それができる体制は組織じゃないといけないよね、という考え方からスタートしています。

正直保険屋は、自分がトップセールスマンになって、一人でやっている時のほうがよっぽど儲かります。この会社を19年やってきていますが、1人で創業した当時が一番多かったです。
 
JAM:1人でやっていた方が収入が多いものの、1人で80年間お客さんをアフターフォローしていくことはできないから組織化する考えに至ったということですね。
 
内野氏:そうですね。価値観に良い悪いはなくて、合う合わないがあるだけだと思っていますが、保険営業で一山当てたいのであれば他の保険会社に行ってくださいと思っています。僕達は保険の入口と出口のサービスを、永続性を持って提供するために、仲間みんなでやっていくことを大切にしようと決めました。
 
さらに、仲間・お客様と一緒にやっていくためには、人を大事にしよう、人に積極的に関わっていこうと思っていて、じゃあその先に何があるのかと考えると理念である「出会えてよかった」と思っていただく人生を歩んでいこうと。じゃあそのためにどういうことを約束して、どんな行動をしていくのか、というのがこのAG-HEART(クレド)なんです。未来に対する価値観を合わせていないと、人が集まったって何の意味もなさないわけですよ。

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AG-HEART

-理念-

『出会えてよかった』のために

人や企業、あらゆる『出会い』を大切にし、あんしんと幸せを提供し続けることが私たちの使命です。

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JAM:「稼ぐ」ことが第一義という方は、アセットガーディアンさんの価値観とはそぐわないということですね。
 
内野氏:保険業界は8割の人が稼ぐことができずに、2割の人が生き残る。「売った人がえらい」という価値観で業界が100年続いていて、その価値観がスタンダードなのであれば、僕達の価値観の方が非常識なわけです。だから、しっかりとその価値観を明文化して伝えていかないと、別の志向の人が混ざってくるわけです。
 
JAM:AG-HEARTをちゃんと明文化しようと思ったきっかけは何かあったんですか?
 
内野氏:店舗拡大をして、どうにもこうにもうまくいかなくなったこととですね。

3億円ぐらい調達して、2007年に1年で10店舗出したんですよ。それに伴って1年間で40〜50人採用して、10人の店長に権限委譲していったら、それぞれの店長達の軸で物事を判断するようになりました。それによって、意図しないことがたくさん起こったんですね。外側から見たら一気に10店舗進出して勢いがあるように見えたかもしれませんが、中身はボロボロでした。
 
僕の心の中に理念はあったんですよ。でも、みんなに浸透させるような明文化されたものっていうのはなくて。私が伝えたつもりでも、伝言ゲームになってうまくいかなかったんです。

失敗した時ってまず感情で物事を考えるんですよね。そうすると悩んじゃうんですよ。悩むと何が生まれるかっていうと、人の粗が見えてくるんです。「やるって言ったのにやらない」「俺はこう言ったのに」と全部人のせいとして考えてしまっていました。でも悩んでいても答えは出てこない。そこで思考を転換して、今まで考えた粗を全部自分のせいだと考えて、その粗を潰していこうと考えました。

人に任せることは正しい。けど任せ方がまずかった。だからやっぱり軸、共通言語をみんなでちゃんと共有できるようにするべきだと思って、理念をつくろうという考えに至りました。

JAM:理念を明文化することで、採用基準も変わってきますし、セルフスクリーニングにもなるので集まる応募者の質も変わってきますよね。
 
内野氏:そうですね。明文化する前は、自分の中にあった価値観を大切にして採用をしていました。急成長していたので、即戦力として活躍してもらうために経験者採用ばかり行なっていました。経験者はお客様が来れば接客ができるんです。保険業界はお客様を見つけるマーケット開拓が一番難しいんで。

そして、経験者は今までの会社では歩合でやっていたので、普通だったらこれだけ売ったらコミッションがこれくらいもらえるはずという感覚になります。でも、組織でやっていたら、集客にコストがかかって、組織で役割分担をしているから人件費がかかってという投資をして、残りの金額から給与を支払うという普通の企業では当たり前の感覚が、保険業界にはないので「これだけ売っているのに…」という気持ちになっていくんです。
 
JAM:経験者を採用したいものの、経験者だからうまくいかないという葛藤があったのですね。そこから採用の方針はどう変わっていったのですか?
 
内野氏:全て理念に基づいて、理念に共感する人だけを採用して、中途採用も保険業界の常識がない未経験者を採用していきました。

でも未経験者採用は、最初の1年は十分な売上をつくることは難しいので、IPOを目指して四半期ごとに会社として成果を出し続けることは難しくて。短期的な成果ももちろん大事ですし、会社のフェーズによっては絶対必要なのですが、改めて自分の経営スタイルは、一過性のものではなく、永続性を大切にしたいというところに行き着きました。それをやりきるためには、何が必要だろうと考えて、理念や行動指針を自分でつくりました。でも2015年の設立15周年の時に「理念が、長くて分かりにくいからフルリニューアルしたらどうか」という話になって全員で作り変えたのが今の理念です。
 
JAM:今の理念は全員で作ったのですね。「全員で」というのはどんな方法で作ったのですか?
 
内野氏:プロセスとしては、100名の社員全員が小グループを作って、聞く項目、語る項目を決めて、グループごとにディスカッションをしました。10グループあったら10個の意見が出てきます。そうしたら、10個のグループのメンバーをシャッフルしてディスカッションをする、というのを4回やりました。人をシャッフルして違う人と話すとまた新しい気づきが出るんですよね。

それを今度は理念委員会という、6人ぐらいのメンバーが有志で手を挙げてくれて、ディスカッションで出た膨大なデータをマッピングしていって、言葉を考えて、一字一句決めていきました。ちなみに、この理念づくりにも、理念づくりのプロセス設計にも、私は全く関与していなくて、理念委員会がとにかく頑張ってくれました。
 
JAM:理念づくりのプロセスに携わらないというのは、かなり勇気のいることだと思いますし、最終的なアウトプットが社長のイメージと違うということが起こりそうだと思いますが、AG-HEARTを見た時にはどう感じたんですか?
 
内野氏:2015年の15周年パーティーの時に初めて見たんですが、初めて社員の前で泣いてしまいましたね。普段は全くそういうキャラじゃないんですけど、堪えきれなかったですね。理念が大事だ、理念が大事だと言い続けて、みんなが同じことを考えてくれていることが分かった瞬間は本当に嬉しかった。私が直したのは「てにをは」くらいです。

私がみんなに任せながら経営をして、文化を作ろうとしてきましたが、完成したものを見た時には「ああ、文化ができた」と思いました。全社員で作った理念なので、そこからの浸透度合いは半端じゃなく早かったですね。
 
JAM:全員でつくった理念であれば、思い入れもありますし、プロセスもわかるので理念に込められた本当の意味も伝わりますよね。
 
内野氏:理念と人事評価、給与テーブル、そして文化。これが全部一気通貫していないと意味がないというのは分かっていたので、人事制度は、売った人が極端に評価されるフルコミッションではなく、チームとして勝つという完全固定給です。でも1年も運用するとリニューアルが必要で、組織づくりは本当に永遠の課題だと思っています。

後編に続く

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