仕組みをつくり風土を変える
無印良品を展開する良品計画は38億円の赤字に陥った2001年。
現会長の松井忠三氏はそんな時期に社長に就任し、
今では日本国内のみならず海外においてこれまで以上の人気を集め、
その成功の理由はどこにあったのでしょうか?
松井会長が業績不振の根本的な原因として目を向けたのが企業風土。
経験主義的な人材育成や業務の仕方で個人にノウハウがつき、
そんな文化を象徴した出来事が、新店オープンの開店準備時に起こります。
他店の店長が応援に来るたび「無印らしくない」
これに象徴されるような非効率を改善しようと松井会長は仕組み化にフォーカスします。
誰にでも同じように理解できるようマニュアル化を進めたり、当者の勘や経験に頼らず売上実績や季節情報等から予測して発注作業を行う「自動発注システム」を導入したり。
しかし松井会長が目指したのはあくまでも、仕組みをつくり組織風土を変えること。
仕組みができれば誰でも業務を実行できるようになり、仕事の仕方が変わる。
そうすると究極的には人の問題に戻ってくると松井会長はいいます。
人ありきでは勝負にならず負ける構造にしかならないが、仕組みをつくった上で自分の頭で考え、
そしてそのような環境をつくるのがリーダーの仕事であると定義しています。
一見、仕組み化やマニュアル化を進めると業務を実行するのは誰でもよいという考えにも行き着きますが、そうではなくそれを土台として強い人材を育て上げたところが松井会長の作り上げた大きな差別優位性なのかもしれませんね。