成長企業の社長が語る 組織のDNA Vol.6(後編)
<事業づくりを任せて人を育てる。そして組織文化は、トップ人材が引き上げる。>
「成長」へのこだわりとは別に、組織づくりをする上で大切にしているのは「やりたい人には任せて人を育てる」というこだわりです。
サービスやプロダクトは2〜3年以内になくなることも多いですが、「人」は唯一なくならないものだと思っています。
学生時代から団体競技が好きで、人と戯れて何かを生み出すというプロセスが好きなんです。それと、僕がVC(ベンチャーキャピタル)で働いていたこともあって、新しいものを生み出す人をとにかく支援したいという思いがあります。
その方法として、会社・事業をつくりたいという人には任せるようにしていて、最近孫会社を増やしています。今後、市場が拡大する可能性がある領域で、社内メンバーが協力できる範囲内の飛び地であれば業種を問わず任せます。
今まで任せてきてどういった人がうまくいっているかと考えると、以下の3つの条件を満たしている人が多いと感じています。
・到達度の水準値が高い
・組織信頼度が高い
・ほぼゼロからのリソースで始めることをちゃんと知っている
新規事業って1人で生み出すものではなくて、社内の仲間の応援の力を受けるとか、外部から応援をされないとできないものなんですよね。その時に、仲間に支援をしてもらえるのは、在籍期間が長く、結果を出し、周りの人から信頼を得ているメンバーが多いと思います。
事業づくりって、困った時に周りの仲間が助けてあげようという感情が動くかどうかなど、様々なものの総合的な結果です。組織って生き物なので、合理的なものだけでは人は動かないと思っています。
そしてもし、その人が新規事業を失敗しても、今まで結果を出していて、長年クロス・マーケティンググループの組織にいた人であれば「あの人がやってできなかったのであればしょうがないよね」という組織納得度、組織許容度が高くなると思います。
ちなみに、3つの条件を満たす人を育てるためには、新卒も含めて若い段階で育成した方がいいと思っていて、20代全体を新卒と同様に扱って、クロス・マーケティンググループとして、しっかりと育成していった方がいいのではないかと今考えています。
極論を言うと中途も、入社の入り口の段階で新卒研修並みに、採用プロセスも研修制度も変えた方がいいのではないかと思っています。新卒と中途では、体感でいうと新卒:中途=9:1くらい、面接にかける時間と工数がかなり違うというのはおかしいと思っているんです。
本来、人と戯れることが好きなので退職があるとショックですし、入社のタイミングでもっと工数をかけて採用をしていきたいと最近見直しをかけています。
そして、採用したあとは活躍する人が定着するかどうかが大切です。新規事業企画コンテストとか、研修を受けて何か新しいものを生み出すのは難しいと思っていて、自分が本気でやりたいと思う事業をどんどん手を挙げて実現する機会をつくります。
新規事業を立ち上げて走れる人を1人より2人、2人より3人と増やしていって、そのロールモデルをどんどん出していきたいですね。M&Aを繰り返して、様々なカルチャーがぶつかる中で組織をリードしてくれるのは、そういった人だと思っています。
そういう人たちがこれからどんどん生まれるためには「やればいいじゃん」と会社が挑戦を推進していることが、結果を出している人、もしくは事業をやりたい人にどれだけ刺さっているかが大切だと思っています。
そういう人がのびのび事業をつくっていることを、社内報アプリなどを作って、個人に焦点を当てたり、発信頻度を増やして、情報量をあげていくようにしています。
組織づくりはまとめるとシンプルで、Mission・Visionを宣言して、事業に挑戦するチャンスをつくる。そして、その事業づくりをしている人の情報を発信して、組織全体のレベルを引き上げて文化をつくっていくことだと思っています。
株式会社クロス・マーケティンググループ
代表取締役社長兼CEO
五十嵐 幹
設立
2003年4月1日(五十嵐社長によって設立された株式会社クロス・
事業内容
・マーケティングリサーチ事業
・ITソリューション事業など