半沢直樹とコンフィデンスマンJP,そしてスターウォーズの大いなる共通点
「半沢直樹」は第5話で帝国航空編に突入しました。
組織コンサルタントとしては社員説明会での半沢の快演(帝国航空は死んでいない!のくだり)が鉄板の組織論ネタですが、今回はあえてその鉄板ネタに飛びつかず、少し斜めからの視点で考えてみたいと思います。
またそれか
前編で共に戦い信頼を深めたスパイラル瀬名社長から、帝国航空社員への提案内容リークに使用されたメールアカウントの発信者情報を手に入れる場面。
私は正直「またそれか」と思いました。瀬名社長も口にしていましたが、個人情報の漏洩という上場企業としてはとてつもないリスクを背負った情報提供です。
この貴重な情報が裏切り者の特定のきっかけになるわけですが、実は半沢直樹の問題解決は「特別なルートからの情報入手」が鍵となるケースが多々あります。
電脳編での渡真利くんの大活躍は記憶に新しいですね。渡真利くんが入手した「電脳への1500億の融資稟議」「(朝8時までに確認の)foxへの1000億融資」が無ければ、大逆転の勝利は無かったと言えるでしょう。
7年前のシリーズでも(緩やかな記憶で申し訳ないですが)数回こういったことがあったと思います。時間に余裕があれば7年前のシリーズもこの視点で見返したい笑。
ワンパターン?テンプレート?お約束?フォーミュラ?
これをワンパターンと表現することも可能ですが、ワンパターンというこの単語はネガティブな雰囲気をまとっていますね。
ただ私自身「またそれか」と思いつつ、毎回楽しく半沢直樹を視聴しています。これは人間のどんな?なんの?感情なのでしょうか。
今回も瀬名社長から情報入手した瞬間に「はい、お決まりのキター」と盛り上がった私がいるのです笑。
ワンパターンというとネガティブですが、テンプレートと表現されるとネガティブさが減りますね。そしてお約束と言われるとなんだがダチョウ倶楽部を見ているよう。
そしてフォーミュラ(公式という感じですね。数学とか化学の)と表現された日には、なんだかカッコいい!と思ってしまうほどです。
みんな大好き、お約束
私の大好きなコンフィデンスマンJPもラストの数分での「やられたー」がお約束です。映画プリンセス編では、それが無いまま終わりそうなラストに「え?今回あっさり?あっさりなの?」とドキドキしたことは記憶に新しい。
考えてみればスターウォーズもかなりのお約束です。敵の人工惑星を破壊するために、その中心部に戦闘機で特攻して致命傷を与える、というパターンを何回観たことか。
ミッションインポッシブルなんて超ハイテク戦を壮大に繰り広げたあげく、雪山など大自然の断崖絶壁で敵のヘリコプターをワイヤーを使って墜落させるなど、とてつもないアナログ戦で決着をつけるというのも何度も観ました。
でも、どの映画たちも新作が出れば必ず観に行くほど私は大好きなんです。
そう、お約束というのは安心するんですね。分かってるけど観ちゃう。人間の面白いところだと思います。
極めて重要なスキル「抽象度のコントロール」
さて、そろそろ組織コンサルタントとしてふさわしい内容を。
今回の私の視点(思考方法)を「抽象度のコントロール」という観点から説明します。今回の半沢直樹で言えば「スパイラル瀬名社長からの情報入手」と捉えるか「信頼関係の高い人物からの情報入手」と捉えるか。前者が抽象度低く(具体的)、後者が抽象度高い情報認識です。
このように「ある事象」を様々な抽象度で認識することを「抽象度のコントロール」と呼びます。例えば、ある営業案件の成功を「担当したXさんのスキル」「担当営業のコミュニケーションスキル」「担当営業の関係構築スキル」と様々な抽象度で認識することができます。
この抽象度を行き来する思考は、仕事において「パターン認識」「ノウハウの応用展開」にプラスに働きます。さまざまな成功から「共通する要素を抽出しパターン化する」「ある分野での成功を他分野でも活用する」ということが可能になるのです。
この話を深掘り始めるとコラムが終わらなくなりますので、そろそろおしまいにしますが、ビジネスパーソンにとって「抽象度のコントロール」は極めて重要なスキルです。特に戦略や組織、IT領域のコンサルタントには絶対に必要なスキルだと断言することができます。今回のコラムではその入口として、こんなスキル(視点)があることを知っていただければ幸いです。