2020.08.11 エンタメ組織論

「半沢直樹」上司としての影響力を徹底分解!

第4話で電脳vsスパイラル編が完結しましたが、賀来賢人さん演じる直属部下の森山と半沢の信頼関係が第1話から少しづつ積み上がっていったのを皆さんも実感したと思います。
エピソード終盤では盤石といえる関係でしたね。

組織コンサルタント視点で言えば、半沢の上司としての影響力はとても素晴らしいと評価することができます。

今回はこの二人の関係を中心に半沢直樹の「影響力」を徹底分解したいと思います。

 

「温かみ」と「強さ」


組織論において影響力に関する研究は多々あるのですが、今回はアメリカの社会心理学者エイミー・カディ氏の整理するフレームで分析を進めます。

同氏は人間の影響力を「温かみ」と「強さ」で90%以上を占めると言いました。
当社では温かみは「受容」「共感」「支援」、強さは「権威」「主体性」「能力」に分解しています。

今回はこの6項目で半沢直樹の影響力を分解していきます。

半沢と森山の関係は第1話の時点では盤石ではありませんでした。
むしろマイナスであったというのが正しい見方で、出向組でもある半沢をプロパーの森山は快く思っていない場面がいくつか描かれます。

最初から影響力を発揮していたのではなく、徐々に信頼を勝ち得ていき盤石な状態に至ったと考えるのが妥当でしょう。
そういう意味では一般のビジネスパーソンにも参考になる点がたくさん抽出できると思います。

 

1:受容(温かみ)


第一の要素は「受容」です。この人は自分のことをわかってくれるという要素です。

第1話、電脳担当にもかかわらずチームメンバーから外され納得のいかない森山に「今回の買収案件はお前の営業努力の結果だ。お前の手柄だよ」と声をかけ、軽く飲みにでもいくかと誘います(その前に肩を叩こうとして躊躇する場面もありましたね)。
この時はまだ信頼関係が薄いこともあり森山に「なんでですか」と振られるわけですが(涙)、表情には出しませんが森山は嬉しかったはずです。

同じく第1話にこんな場面もありました。

電脳がスパイラル株を30%取得したあと、オフィスから迷いながらスパイラルに電話し途中で切る森山に、缶コーヒーを持って話しかけます。

「瀬名さんに電話一本かけられないのか?」
「向こうは大変な時ですし」
「そうか、だけど俺なら嬉しいけどな。昔の友達から連絡がくれば」
「俺なんか相手にされないですよ」
「その時は仕方ない。だけど自分が有名になって金持ちになったからって冷たくあしらうような男なのか?彼は」

とやりとりします。森山が何に迷っているのか察してかけた言葉でしょう。
森山はこの人は自分の気持ちをわかってくれると感じたのではないでしょうか?

 

2:共感(温かみ)


第二の要素は共感。この人の言っていることに共感するです。

第2話でfoxと太洋証券もグルだと見抜き、スパイラルの最初のピンチを救った半沢と森山に瀬名社長がアドバイザリー契約を持ちかけます。

森山が「けど、それだとうちが銀行と対立することになりますよね」と発すると、半沢は「いいんじゃないか?面白い。お客様が望まれるならできることはすべてやる。たとえ相手が銀行だろうとな」と言い、瀬名社長に「一緒に戦わせていただきます」と握手します。
その後に一瞬うつる森山のほこらしげな顔に注目です。

 

また第3話では、黒崎率いる監視委員会が乗り込んだタイミング、スパイラルのfox買収交渉を森山に任せる電話でこう語りかけます。

「忘れるな。大事なのは感謝と恩返しだ。その二つを忘れた未来はただの独りよがりの絵空事だ。これまでの出会いと出来事に感謝し、その恩返しのつもりで仕事をする。そうすれば必ず明るい未来が開けるはずだ。成功を祈る」

その電話を受けた森山はfox郷田社長を

「我々がこの買収をご提案したのは目先の難局を乗り切るためだけではなく、お互いの未来を見据えてのことです。もし同意していただけたら、将来このご恩は何倍にもしてお返しします。その自信はあります」

と説得に成功します。半沢のアドバイスに共感したうえでの言葉ですよね。

最後に第4話。大和田常務への直談判で本店車受けへ森山と二人で向かう場面。自分の信念を語ります。

「一番やっかいなのは敵が自分自身の時だ。でも大丈夫だ。信念さえ持っていれば問題ない。組織や世の中はこういうものだという強い思いだ。信念は三つある。一つ、正しいことを正しいと言えること。一つ、組織の常識と世間の常識が一致していること。一つ、ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価されること。(それを外れてしまうのは)自分のためだけに仕事をしているからだ。仕事は客のためにするものだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れた時に自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は内向きで卑屈で醜く歪んでいく。伊佐山や三笠や大和田みたいな連中が増えれば当然組織は腐っていく。組織が腐れば世の中も腐る。森山、お前はこれからいろんな相手と戦うことになるだろう。だがな、最初の敵はいつも自分自身なんだ。勝敗は時の運だが、決して自分の構えを崩すな。いつまでも鋭い太刀筋の森山でいてくれ。俺の願いだ」

このメッセージに対する森山の言動の変化は、電脳vsスパイラル編が終結したこともあり番組では見れませんでしたが、森山にとって大切な言葉になることは間違い無いでしょう

半沢直樹3?それとも帝国航空編?で見れることを楽しみにしたいと思います。

 

3:支援(温かみ)


温かみ最後の要素は支援です。この人に自分は助けられているです。

電脳vsスパイラル編では、もう森山はふんだんに助けられまくっていますが、具体的な話も少しご紹介しましょう。

おそらく半沢の支援の最初の場面は第1話のこちら。
森山と瀬名が剣道部の同級生だったことを知り、なぜかオフィスロビーで剣道の居合を仕掛ける半沢(笑)。その後の居酒屋での会話です。

「お前の作った提案書だが、ひどいもんだなぁ。だけど面白い」

その後二人は会議室にこもりっきりになり、電脳への新しい提案書を作成します。
半沢の支援がなければ完成しなかったでしょうね(残念ながら、その提案書は全く見てもらえずでしたが)。

 

4:権威(強さ)


4つ目の要素は権威です。

ここから「強さ」領域ですね。権威はこれまでの3つに比べると多くの要素を含んでいて、この人はしかるべき厳しさや権限、ネットワークを持っている、です。
厳しさ(自分にも他人にも)、権限(決められる権限)、ネットワーク(社内外の人脈)という3種類と考えてください。

まず厳しさ(自分にも他人にも)の場面。

第1話で瀬名と会ったあとに会社にもどった森山が半沢に子会社の憂いをぶちまける場面。
半沢は厳しい表情で森山に近づきこう語ります。

「言いたいことはそれだけか。不平不満を愚痴ってそれで終わりにするのか。何をしても無駄だと全部あきらめるのか」

森山は

「部長。俺は何をすればいいですか」と問いかけますが

半沢が

「それを考えるんだ」

と返し、おそらくこれが三木が完オチした深夜のメール作戦に繋がっています。

 

第4話ではセントラル証券の会議室に盟友渡真利くんが牛丼を差し入れに持って駆けつけます。
もうすぐ出向が決まってしまいそうだ、という情報に森山は「理不尽すぎませんか?」と発しますが、半沢は「人事がこわくてサラリーマンが務まるか」と一蹴します。

二つのエピソードでのこの強さ、素晴らしいですね。
この程度のことでは揺らがないという自分への厳しさが垣間見えるシーンでした。

 

ネットワークの主役は上記エピソードでも登場した渡真利くんですね。

第一話で電脳とのアポイント。必死に作成した提案書を見てもくれない様子に不審を抱く半沢は、電脳を出たあとに「前もそうだ。提案書を全く見ようとしない」と発し、渡真利に電話します。「銀行が大型の買収案件を手がける話はないか?1500億だ」そう聞くと渡真利が答えます「証券部の稟議で1500億の融資の話があがっている」ここで半沢は案件を奪った相手が東京中央銀行であることに気づくのです。

これは権威(ネットワーク)がなければなし得ない仕事で、森山はこういった面でも半沢への信頼を高めていくのです。

ちなみに第2話でfoxの資金源が東京中央銀行であることを突き止めるのも渡真利くんの協力がありましたね(翌朝8時までに頼むぞ!という無茶振りでした笑)。

 

5:主体性(強さ)


5つ目の要素は主体性です。この人は本気だ、自分自身で動く、という要素です。

第2話でfox郷田社長が資金源を白水銀行と嘘をつき、浜村が撮影した写真もあり、買収スキームの全貌を確信した半沢は「さあ、いこうか。瀬名さんが契約書にサインした瞬間、瀬名社長はスパイラルを失う」とスパイラルオフィスへ向かいます。太洋証券の広重は会議室に入ってきた二人を制しようとしますが「大事な契約?どこがですか。私には詐欺まがいの契約にしか見えませんがね」と一刀両断。

この重要な局面で全面に出る主体性、素晴らしいと思います
(余談ですが、その後の広重の「まって」は伝説になりますね笑)。

同話のラストで頭取室に呼ばれた岡社長と半沢ですが、大和田の詰め寄りに「半沢、ご説明しろ」とすぐ振る岡社長との差は歴然です。

また第4話では玉置親子と電脳が交わした特許に関する契約書をくまなく調べあげ、電脳が経営困難に陥った場合は特許を買い戻せることをつきとめます。これは東京セントラル証券のオフィスでしたが深夜というナレーション。その翌朝には「ここは証券、投資家探しは18番だろ!」とメンバーを鼓舞します。この場面も深夜までかけて自分で動くという主体性が現れるエピソードですね。

 

6:能力(強さ)


最後の要素は「能力」です。

この人にはかなわない、この人の下にいると成長できる、です。
この要素も「支援」同様、森山は受けまくっていたわけですが、いくつか具体的なエピソードを。

第2話で森山のまとめたスパイラルへの提案書をみて「いくつか法に触れそうなものがあるな。しっかり確認したほうがいい」と助言。

その後、会議室で森山と

「部長、明日昼から2時間ほどお時間いただけますか?スパイラルの買収防衛策について瀬名社長から相談を受けました」
「それは私に話していいことか?話すことで君が瀬名さんを裏切ることにはならないか?」
「瀬名社長から承諾を得ています」

というやりとりがあります。能力面での信頼はおそらく既に大きく、その前の場面、森山と瀬名がホテルのロビーで二人であった時点で半沢への協力依頼を二人で相談していたのでしょう。

また同話で(まだ裏切り者だと判明していない)foxとの会談のあと、森山は明日8時から契約という流れを喜んでいますが、ビルを出た半沢は「気になることが二つある。一つは東京中央銀行。あの伊佐山がこのまま終わるわけがない。もう一つはfox。いくぞ」と発します。
結果、この流れから資金の出所を明らかにし、つながりをあばくわけです。

能力という面では森山は半沢に頼りっきりでしたね。

 

 

さて、いかがでしたでしょうか?
半沢直樹の素晴らしい影響力をエイミー・カディの6要素で分解してみました。

もちろんドラマの中での出来事ですが、実際のビジネスパーソンにも参考になる点が豊富にあったはずです。

影響力の6要素「温かみ(受容/共感/支援)」「強さ(権威/主体性/能力)」を皆さんの影響力拡大にぜひご参考ください!

採用情報

JAMの価値観に共感して頂ける人材を募集しております。

採用サイトへ

お問い合わせ

JAMのサービスについてのお問い合わせはこちらから。

お問い合わせページへ