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2017.02.17 ツカエル組織論

串カツという選択

皆さんも一度は行かれたことがあるでしょうか、2016年9月に上場を果たした串カツ田中。「大阪秘伝の味」を売りにしている大阪名物の串カツ屋、なわけですが大阪人のほとんどは串カツ田中を知らないそうです。というのも同社本社は五反田にあり第1号店は東京・世田谷で出店、その後関東圏をメインに店舗展開に成功した同店は関西にはまだ数店舗しかないそうです。

数多くの強豪犇めく飲食業界において設立10数年で上場を果たし、店舗展開を加速させる串カツ田中の成長の秘密はどこにあるのでしょうか。

大阪の方が同店に入ると大阪の串カツ店との違いに驚くそうです。大阪では比較的その店内は雑多で男性客が多く立ち食い店が多いのが一般的。一方串カツ田中では若者グループから会社員、家族やカップルなど客層の性別や年齢は幅広く、店内は明るくテーブルとイスのみでシンプル・清潔な印象。黙々と急いで串カツを食べるというよりは、同店では会話を楽しみながらちょい飲みも長居もできそうな空間を提供している印象です。

大阪の昔ながらの串カツ屋とは一線を画す新たな串カツ屋のコンセプト、様々な顧客ニーズを取り込むことで拡大したターゲット層、それらを可能にしたシンプルな串カツというメニューと店舗デザイン。そのコンセプトや飲食業界での新たなポジショニングについては多くのビジネス雑誌やニュースで注目されるところですが、それらを作り出している同店のシンプルさにはどんな効果があるのでしょうか。

「選択」の研究で知られるコロンビア大学教授のシーナ・アイエンガー氏によって行われたジャムを使った実験で「ジャムの品揃えが豊富なときより、品揃えが少ないときの方がお客がジャムを買う確率が高かった」という研究は有名ですが、彼女によれば人は選択に制約を課されることで選択しやすくなるといいます。

一見選択肢は多ければ多い方が良いと思いがちですが、多すぎる選択肢は人を混乱させ結局選べなくなるというのは興味深い話です。串カツ田中のシンプルという特徴にこの選択の理論がはたらいているとは考えられないでしょうか。

まず串カツを食べようと思った時に挙がるお店の選択肢として同店は関東圏ではまず選択肢に入るでしょう。そして店内のメニューは串カツに焦点をあてたシンプルなものであり、入った客は高い確率でまんべんなくメニューを注文し売上も確保できる。マーケティングや営業の場面で取り入れられるこの選択の理論は組織づくりでも応用できるのではないでしょうか。

採用におけるクロージング、育成における指導方法、評価におけるキャリアパスの提示方法、文化醸成におけるポリシーの訴求、組織改革におけるテーマ選定や経営層への提案など。皆さんの会社では選択を活用・コントロールできていますか?また選択と制約のバランスはとれていますか?

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