「半沢直樹」呉越同舟マネジメントは禁断の技??
今回ピックアップするのは呉越同舟。「かつての敵は今日の友」です。半沢と三木は既にそうなりましたが、大和田も半沢に仕掛ける可能性プンプンです。組織マネジメントでも思わず繰り出したくなる技なのですが、禁断の技とも言えるその危険性について触れたいと思います。
大和田常務が半沢を救う???
電脳vsスパイラル、第3話で完結でしょうか? 第2話では大和田が三笠副頭取に仕返しするために(もっと言うと中野渡頭取も三笠副頭取に失点を与えたい??)半沢に救いを出す伏線が張られましたね。
半沢は呉越同舟(仲の悪い者同士や敵味方が、同じ場所や境遇にいること。本来は、仲の悪い者同士でも同じ災難や利害が一致すれば、協力したり助け合ったりするたとえby三省堂 新明解四字熟語辞典)を仕掛けるタイプではありませんので大和田常務に本買収の争いで最後の最後に手助けされ、やむを得なくそれに乗るという流れでしょうか。
呉越同舟マネジメントの威力
半沢とあれだけ敵対した大和田が呉越同舟を繰り出すことを推測するのは、その行為がとてつもなく強力で発動しやすいからです。簡単に言うと「共通の敵」ができると、これまでの敵は突然仲間になるということですね。
実はこれ、組織あるあるです。たとえば、ある課長がメンバーの人心を集めたいと考えます。そして、なんらかの理由で該当メンバーとこれまで関係性が悪かったとします。最も簡単な手法は「共通の敵」の設定です。この時の共通の的は「競合企業」や「やっかいなクライアント」である場合もありますが、最も多くかつ分かりやすいのは(とても残念ですが)「その上の上司」です。
「上は現場のことを分かっていない」という部下迎合型のマネジメントですね。これは一時的に部下の人心を集めるにはとても強力に機能します。だからこそ、その誘惑に負けてしまう管理職も多いのですが…
サッカーでいえばキャプテンが勝利に拘らない状態に
サッカーで例えたら、キャプテンとレギュラーが団結して監督を批判している状態ですね。監督を批判したいわけですから、監督の戦術で勝利することを喜べない。結果的に負けてもいいや、さらに言えば負けてやろうになるわけです。このチームが強いチームなわけがない。キャプテンがやるべきことは監督との対話です。そこで願う結果が得られなかったとしてもレギュラーたちを鼓舞して勝利に向かうことが役割です。こう考えると呉越同舟マネジメントがその場しのぎの禁断の技であることが理解できますね。
部下の成長により自分にブーメランが
一時的に部下の人心を集めるこの手法も賞味期限はさほど長くはありません。部下の成熟度があがり本質が見えるようになると、部下自身が疑問を抱えるようになります。「なんだか、本質的に向き合っているのは上の上司のようだ」「直属の上司の視界が低いのではないか?」となり、結果的に自分への信頼が下がるというブーメラン発生です。
呉越同舟マネジメントは中長期的に見れば組織全体にも良い成果を残しませんし、繰り出した本人にもブーメランで帰ってきます。管理職の皆さん、この誘惑に手を出してはいけませんよ。
中野渡頭取は良い人?悪い奴?
最後に余談を少し。前作から感じていることではあるのですが、中野渡頭取が善キャラなのか悪キャラなのか。基本的には善キャラ風なのですが、自分を追い落とそうとする重役を半沢を上手に動かし、うまいこと抑えている印象も拭えません。第2話でもラストの場面でそう感じましたね。ただ「あー、たぶん悪だな」と印象付ける決定打もありません。この視点でもこれからの半沢直樹2に注目ですね。