2015.06.30 イケテル仕事観
「楽譜を読むのが仕事」 指揮者 小澤征爾さん
日本人指揮者として世界的に支持を得ている小澤征爾さん。
今年80歳を迎えますが、今なお現役指揮者として活動を続けられています。
そんな小澤さんは自らの仕事を、「楽譜を読むのが仕事」と表現されています。
言葉だけを取れば、譜面が読めれば誰でもできるように捉えられてしまいますが、そこに込められているのは「作曲家の感情を読み取り、伝える」という指揮者のミッションなのだと思います。
小澤さんは楽譜読みのことを「勉強」と言われます。
Boston交響楽団の音楽監督時代から毎朝5時から9時頃まで楽譜を読まれて勉強されているそうで、今も同じだそうです。
今でも小澤さんは「楽譜を読み解くのに苦労している」と話します。
すでにこれだけ指揮者として地位を築いている方でありながら、今なお作曲家の感情を読み取って聴衆の我々に伝える準備に命を掛けているのです。
オーケストラの指揮者の楽譜は上からフルートから始まり、木管、管楽器、打楽器、弦楽器の順に全楽器の楽譜が書かれています。
なおかつクラシックの楽曲は1曲の長さが長く、演奏が1時間近くに及ぶこともあります。
そうして苦労を重ねて読み解いた楽譜を、小澤さんは本番の時に指揮台に置いていません。
すべてが自分の中にインプットされ、作曲家と同じ気持ちになった状態で舞台に立っているのです。
翻って、自分の仕事で対峙する相手についてどれだけ理解しようとし、準備をすることができているか。
そんなことを考えさせられるエピソードですね。