ホームコラム「独創性は1日にして成らず」北里大学特別栄誉教授 大村智さん
2015.10.09 イケテル仕事観

「独創性は1日にして成らず」北里大学特別栄誉教授 大村智さん

日本人23人目のノーベル賞を受賞された大村智・北里大学特別栄誉教授。
ノーベル医学生理学賞を受賞された素晴らしい功績のほか、賛辞が送られているのはその人柄や研究者に留まらないご活躍の広さにあるようです。
 
「常に新しいものを見つけたい」という心構えとその独創性。
研究者、美術愛好家、教育者、、様々な顔をもつ大村さんの軸として貫かれているその独創性はどのように生まれ、機能しているのでしょうか。
 
今回の受賞から30年以上前、大村さんは微生物学と遺伝子工学を利用した「ハイブリット抗生物質」の可能性を模索し、現在多くの抗生物質生成に利用されている遺伝子組み換え細菌の力を見出します。微生物を語らせたら右に出る者はいない大村さんですが、逆に微生物に固執せず「微生物+α」「微生物+X」と微生物を起点にその可能性を信じて化学や遺伝子学と掛け合わせていきます。その柔軟な発想と挑戦はどのように生まれるのか?
 
「広く学ぶこと、好奇心旺盛が大事。私は二つの『ない』が基本的なスタンス。人に頼らない、人のまねはしない、この二つです」
「言うだけでなく、実行しなくては駄目」
という言葉から、独創性を追求する信条が伝わります。
そして実際にそのスタンスが研究、美術、後進育成と多方面に振れずに発揮されていることが、何よりも言葉に重みを与えています。
 
「科学も芸術も一緒。大切なのは独創性」
と大村さんは語ります。
ただ「独創性」と言葉にするのは簡単ですが、実際に独創性を発揮することは容易ではありません。大村さんの独創性の起源はどこにあるのでしょうか。
 
それは大学時代の体験に基づいているとか。
「勉強したいなら大学に行ってもよい」と親から言われ、それまで大学進学を一切考えていなかった為、猛勉強。その傍ら、好きだったスキーは止めずに1日3時間の睡眠で大学に進学。大学ではスキーの名手の下、過酷なトレーニングに耐え、同門下の優秀な選手と共に切磋琢磨する中で「真似するだけでは先生を越えられない」「負けたくない」という思いから「体力的にも精神的にも厳しい環境に身を置く中で人まねをしないことの大切さ」を学んだとのこと。その独創性は強烈な実体験によって育まれた体感値であり、経験を通してその意識が深く刻まれ「独創的であれ」という価値観が確立されたのでしょう。
 
「独創性」「クリエイティビティ」とは昨今のビジネスシーンでもよく耳にします。
その言葉を先においてそれを追求していくのか。
その源泉となる経験や機会からそれを創造させていくのか。
大村さんのあくなき創造性への挑戦は、その功績以外に多くのものを私たちに気づかせてくれますね。

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