バーテンダーは何屋か??
先日初めて訪問したバーでのこと。
その日はあまり混んでいなかったからか、バーテンダーさんがいろいろとお酒の紹介をしてくれました。
でもそのバーテンダーさん、私が今まで出会ったバーテンダーさんとはどこか違いました。
何が違うかというと、薦めてこないんです。
常に聴く側に回り、私たちの好みを確かめていくのが彼のスタイルでした。
はじめは単純にスタイルの違いかな、と思っていましたが、話を聞くにつれてその違いの深さに感銘を受けました。
彼が言うには、
「私たちバーテンダーは自分がお酒をつくっているわけではないから、これがうまいとか、これが貴重だとか、えらそうなことがいえる立場ではない。
ただ、お客様の好みに合うお酒との出会いを作り出し、そのお客様がそのお酒を長く楽しんでもらえたらそれでいいんです。
それがこのバーである必要もなく、別のバーにいってもお気に入りのお酒をオーダーしてその時間を楽しんでいただけたり、さらなるお気に入りとの出会いがあればそれでいい。」
とのこと。
その言葉の通り、彼は私の好みを見出すとそれに似たお酒を何種類も出してきては一口ずつ試させてくれました。そして私が覚えられるようにと種類を限定して名前を教えてくれました。もちろんチャージはなしです。
その様子を見ていて、このバーテンダーさんは自分の仕事をバーの売上に貢献する店員とは捉えておらず、お客様のお酒とのひと時を演出する演出家だったり、お酒をつくる職人さんを代弁してそのお酒の魅力を伝えるアンバサダーとして自分の仕事を捉えている、ということがわかりました。
ビジョンやミッションの重要性は古くから叫ばれていますが、こんなエピソードからも自己定義の仕方が仕事に質に影響を及ぼすことがおわかりいただけるのではないでしょうか?