2014.09.01 イケテル仕事観
周りの幸せが第一
イタリアンシェフ 奥田政行さん
山形県鶴岡市、日本海に面し三方を山に囲まれた庄内平野の片隅に、日本中の食通が集まるレストランがあります。その名はイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」。この店のシェフが奥田政行さん。田んぼの真ん中にあるこの店と奥田シェフがこれだけ注目されるのはなぜなのでしょうか?
庄内地方は古くから、その恵まれた美味しい水、豊かな土壌、澄んだ空気に加え、生産者たちの熱い想いによって、さまざまな独自の食材を生み出していました。
しかしアル・ケッチァーノの開店当時、山形県庄内産の食材は現在のようには認知を得ていませんでした。
そんな生産者に光をあて、その実直さを心から信頼したのが奥田さん。
「まず、生産者を幸せにする。キーワードは夢、誇り、安定、小さな幸せです」
と語る彼は、庄内を食の都に、と「夢」を掲げ、食材の価値に気づかせて「誇り」を持ってもらうことからはじめました。
価値に見合う額でレストランが買い上げて生活を「安定」させ、そして山の生産者には海の物を手みやげにするなど「小さな幸せ」の交流を重ねていく。
また生産者の家族や、タクシー運転手も店に招待するのです。
自分たちの作物がどうなるのか、自分が乗せるお客が何を食べるのか。
仕事の先を知ることで、アル・ケッチァーノが庄内の誇りになるからだといいます。
誰をも犠牲にせず、育み合いながら、関わった人すべてを幸せにする。
奥田シェフはそれを、本気で実践しています。
周りの幸せを第一に考えることができる奥田さんだからこそ、巡りめぐって自分に幸せが帰ってきているのかもしれませんね。