「クリスマスをつくりたい」 アートディレクター 森本千絵さん
「Mr. Children」のジャケットや「組曲」のCM、「おおかみ子どもの雨と雪」の作中画。
彼女の作品を見ずに過ごす日はないといっても過言ではないほど、注目を集める作品を生み出し続けているのが森本さん。
徹底的なこだわりを持ちながらも、その緻密さが心地よく目と心に刻み込まれる作品の数々はどのようにしてつくり出されているのでしょうか?
彼女にとって作品をつくることは例えるならば出産。
例えばCMなら企画を生んで、製品に関わる人達がどれだけそれを愛しているかを知って、プレゼンして、撮影の環境をつくって演出して、その全部を見守る。
その製品や製品に関わる人たちのことを全部まるごと好きになると、他人事でなく自分事になり、あれもこれもやりたいし、徹底的に関わりたいという気持ちになるのだそうです。
また、一過性じゃなく人物でも商品でも、その仕事が世に広まることで少しでも「良くなる」影響を与えられると思ったら、たとえ予算がないものでも全力で受けるのだそうです。
そういう仕事が人の目で磨かれると、もっと大きなエネルギーになって出会いたかった次の仕事に繋がっていくと信じる森本さんだからできることです。
そんな森本さんが目指すのは、「無駄にみえるけどすごく普遍的で愛されるもの」をつくりだすこと。
その象徴がクリスマス。
世界中の誰もが、この人間のつくったファンタジーに巻き込まれ、歌や物語が沢山生まれている。
原点から遠く離れた日本においても、カップルも家族も大人もこどもも、食事に行ったりデパートに行ったりする。
ここまで浸透する物語をつくりたい、というのが森本さんの野望だそうです。
当たり前すぎて気づかないことばかりですが、実は素晴らしいものが世の中にはたくさんあって、それをつくった人がいる。
それをつくる側に回っていこうとする森本さんのエネルギーに、私たちはパワーをもらうのかもしれませんね。