「怪我をしてわかる」人材育成と新入社員研修におけるメンタルヘルス不調問題。
株式会社JAM・2020年新卒入社の小西です。
自分は小さい頃、やたらと怪我をする子どもでした。
すぐに高いところに上りたがり、何かにぶら下がりたがり、跳び越えたがり。膝や肘に生傷を作る度にギャンギャン泣いて、落ち着いたらすぐ別の危ないところにズンズン向かっていく。そんな子どもでした。
大人になった今は(とはいえ22歳の若造ですが)、当たり前ですがそんなことはしません。子どもの頃に怪我をし続けた経験からか、何をしたら危ないか…のセンサーがしっかりと働くようになりました。
怪我をしなければわからないこともある
怪我をしてわかることがある。更に、怪我をしなければわからないこともある。
よく言われるこれらを、身をもって感じています。
「夏休みの課題は早めに終わらせなさい」や「秘密を話す相手は選んだ方がいい」や「異性と会う予定の前日に二郎系ラーメンを食べてはいけない」など。
どうなるかが簡単に想像できるものすら自分はやらかした経験がありますし、その度に「やっちまった」を頭だけではなく心で感じて、繰り返さないように気をつけて成長してきた感覚があります。
「経験から内省・意識変容を促す」研修と「怪我をしてわかる」
日本に数多く存在する研修の中には「経験から内省・意識変容を促すこと」を軸に設計されているものがあります。内定者向けなどに行う、グループワークを通したリーダーシップ開発の研修などが代表的なものかと思います。
これもある種、怪我をしてわかるものではないでしょうか?
・グループワークは人の話を聞くことが大切!
・雰囲気が下がってきた時にはリフレッシュを!
・話が逸れないよう目的を押さえよう!
当たり前のように思えることも、実際にやってみると意外と失敗をしてしまう。そこで初めて、今まで気づけなかった自分の特性を知る。
実際に経験をすることで怪我をし、繰り返さないためのパターンを学習するものです。
幼少期の自分のように、研修の中で受講生が「痛み」を得ることで、配属後に似た場面に出会った際には繰り返すことはないのかもしれません。
新入社員研修におけるメンタルヘルス不調
一方で、日本国内で行われた新入社員研修における、メンタルヘルス不調の問題が時々ニュースに挙がります。時には新入社員側が命を絶ってしまう…にまで及ぶものもあります。
HR領域に携わる身として、同じ新入社員の立場として。目にする度に心から痛ましく感じてしまいます。
少数ではありますが、暗い「怪我をしてわかる」も存在してしまうのが悲しい現状です。
あってはならない「悪意を伴う人材育成」
立教大学経営学部教授の中原淳氏は、自身のFacebookで以下のように綴っています。
>研修には、経営者・経営層の意向も多々反映されます。経営者・経営層のなかには、自社の従業員を「痛めつける権利がある」と誤解している方も、いないわけではありません
Facebook|中原淳
人材育成には、稀に悪意が伴うこともある。
自分がJAMの一員として、今までお会いした人事育成担当者の方や経営者の方は自社愛・社員愛に溢れた人ばかりだったからこそ、少数でも国内にそのような育成が存在することにショックを感じます。
「長期的な視点から見た人材育成」か「悪意を伴う攻撃行為」か
当社が提供する管理職育成パッケージ「マネディク」のコンテンツには、以下のようなメッセージがあります。
「管理職は時に嫌われる勇気を持つことが大切。長期的な人材育成の視点から見ると、時には部下に迎合しすぎずしっかりと指摘を行うことが求められる」
つまり「怪我をしてわかる」ようなものには長期的な視点から見た人材育成である、という意識が最低限必要なのかもしれません(この部分は新卒1年目の私見ですので温かい目でご笑覧いただければ幸いです…!)。
怪我をしなければわからないこともある。
そのための手段として行っていることは「長期的な視点から見た人材育成」なのか「悪意を伴う攻撃行為」なのか…。
問い続けることが求められるのかもしれません。
HR領域に携わる身として、新入社員という青い立場ですが、後者のような人材育成がなくなることを願い続けたいと思います。