宗教勧誘から学ぶ営業トーク術
みなさんこんにちは。2021年、初回の「パンにはJAM」は2020年新卒入社の葛巻が担当いたします!
今回は、私が最近出会った宗教勧誘の方のトーク術について。
意識してなのか、無意識なのか、そのトークの構成にはある種の営業スキルを感じられたわけです。
勧誘されたことがある方、共感していただけるでしょうか?
■初めての宗教勧誘
元々、「社会人になるとマルチ商法の誘いとか、ネットビジネスの誘いとか来るようになるよ」とは言われていました。実際に社会人になってすぐ小学校時代の友人(LINEで繋がっていましたが、15年ほど音信不通)から、「久しぶり!お金、困ってない??」と唐突に連絡が来たこともありました。「これがネットビジネスのお誘い…!」と感動さえしたものです。笑
そんな私に、次に訪れたのが宗教勧誘でした。今年の目標を「コミュニティを広げる」としていた私は、趣味友を探すためのアプリを使い始めていて、そこで出会った方でした。アプリ内で一定期間メッセージのやりとりをし、LINEを交換しようとなりました。そうしてLINEでやりとりをすること数日、ビデオ通話をしようとなったのでした。
■①ヒアリング→自己開示
「はじめまして〜」から始まったビデオ通話は、自己紹介から始まります。出身はどこで、どんな仕事をしていて、休日は何をして、好きなものは何なのか。新卒の私は、どんな学生時代を過ごし、なぜいまの会社に入ったのか、まで聞かれました。「就活かな?笑」と思う質問項目です。おそらく、営業トークでいうヒアリングのパートだったわけです。悩みはないのか、どんな生活で、どんな自分が理想なのか。それによってその後のアプローチの手法を変えてくるのでしょうね。
私のヒアリング(自己紹介)が終わると相手が答えるターンになります。仮に相手をAさんとしておきます。
Aさんは、新卒で入った会社で働く中で「毎日何か物足りない」と感じていたことをさらけ出し始めました。「仕事は楽しいけど、ここで長く働いて見えるものもない。私はどうしたらいいんだろう」そうモヤモヤしていたときに、ある人と出会い人生が変わったと言いました。
このパートはおそらく自己開示なのです。私に信頼してもらうために、自身の弱さ、過去を語るという手法です。作り話の感じは特にないため、実際にAさんが思っていたのでしょう。聞く方もそのままスッと受け取ることができます。また、今思うと少し探りのパートでもあるように思うのです。営業でも、ヒアリングで相手から課題感を聞き出せなかった場合、こちらから「こういうことないですか?」と具体的に聞く場面があるかと思います。おそらくこの役割も果たしているのが自己開示なのです。
■②自己開示→魅力付け
それからというもの「人生なんでもバランスだから、仕事だけに悩むのはもったいないよ」と、その人はAさんを自身のコミュニティに招き入れてくれ、休日を一緒に過ごすように。Aさんは自分のプライベートを充実させることで、人生のバランスが取れてきたと言います。仕事終わりにそのコミュニティの方々とご飯に行ったり、休日はアウトドアに行ったり、これまで何となくで過ごしてきたプライベートが輝きだし、毎日がすごく楽しいとキラキラした顔で語ってくれたのです。
ここはもう「魅力付け」のパートです。いかに自分が充実したプライベートを過ごしているかを魅力的に話せて、相手を憧れさせられるか、です。「こんな毎日送りたい!こんな人達と出会いたい!」と思わせることができたらミッション達成のパートなのです。実際に私も「この人すごく楽しそうだなぁ、キラキラしてるなぁ」とは思いました…。まんまとやられていますね笑
■③魅力付け→権威付け/付加価値
魅力付けが終われば、次は権威付けのパートです。営業トークでいうところの「〇〇社にもご導入いただいています」や「累計○社に使っていただいています」のようなパートです。付加価値とも言えるのかなと思います。
思い返すと、今回の場合はコロナだったように思います。「コロナの影響はどうですか?」という話題になり、Aさんは「コロナへの対応の仕方とか、免疫の高め方とか教えてくれる人がいるから、私はあんまり心配してないんだ」と言っていました。医療について心得た人がいるという、コミュニティの権威付けのように思えます。コロナに大きな不安を抱えている人は、かなり価値のあるコミュニティだと思うのかもしれません。
その他にも、「職種も年齢もバラバラだから、知ってることとかも違って、みんなで勉強会したりしてるよ」とも言っていました。
■④クロージング
初めに書かせていただくと、今回の勧誘はかなりライトなものでした。「このコミュニティに入らない?」「この人に会って欲しいんだけど」というグイグイ来るものではありませんでしたし、ビデオ通話の終盤になるまで、「これ宗教勧誘だ」と思わなかったほどです。
「何かの勧誘だったりするのかな?」と所々思う節はあっても、確信を持てないまま、ビデオ通話は1時間続きました。「もうこんな時間になっちゃったね〜!そろそろ終わろうか!」とAさんが言い出し、終わり際に1冊の本を紹介されました。
「これ、私が仲良くしてて尊敬する人にオススメされた本なんだけど、どう生きるかのヒントになるからちょっと読んでみて〜」
文庫の宗教本でした。タイトルは伏せますが、明らかな宗教関連本です。なるほど、こうやってクロージング(勧誘)に持っていくのか、と。営業を3ヶ月しかかじってない私でさえも、「なんてスムーズなんだろう!」と感じた営業スキルでした。
お読みくださり、ありがとうございます!
私はその宗教に関して興味を抱くことはできなかったですが、鮮やかなトーク術を身を以て体験でき、良い経験になりました。